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Director's interview Vol,1<br> "Thoughts put into making clothes”

Director's interview Vol,1
"Thoughts put into making clothes”

February 27th, 2023

Interview with Director Kinbara's thoughts on making crinklecrinklecrinkle clothes.

2023年春夏にデビューしたばかりの「crinkle crinkle crinkle」。『その時々に感じる感覚を素直に自由に魔法をかけるように表現する』というコンセプトのもと、新ブランドの服作りに込めた想いを、ブランドディレクターである金原広和氏にインタビューしました。

 
 

—まずブランドを立ち上げることになったきっかけを教えてください。
 
長年テキスタイルデザインをしていたので、生地の知識やメゾンの解析は僕の得意分野。そんな動作を見てくれていたOEM&ODMの会社の方が、2~3年前から何かできたらいいね、と言ってくれていて。コロナ禍でみんなの働き方やマインドが少しずつ変化したなかで、「今、ブランドをスタートしよう」と。自分は服のデザインやパタンナーの経験はなかったけれど、お洋服が好きで、見て、着て。服作りはいずれやりたいことの一つだったし、“生地を知っている”という経験は自分にとっての自信でした。そんな風に色々な“タイミング”と“経験値”が、ガチンと合ったというのがブランドを立ち上げたきっかけです。

 

 

—ブランドのコンセプトはありますか?
 
かしこまったコンセプトは特になくて、熱量のある、そのとき自分が感じるものを届けていけたらいいなと思っていて。ファッションって流れるものだから、あまり固定概念に縛られると呪縛のように抜け出せなくなる気がして……。テキスタイルデザイン会社のときも、誰かが求めるものより自分がいいと思うものに愛情を持ってプレゼンテーションして採用してもらう、というスタイルで仕事をしていたんですよね。それをありがたいことに「金原さんがマインドを伝えてくれることが気持ちよくて仕事していた」って言ってくださる方も多くて。僕はその時と同じ情熱や愛情が、お洋服を受け取っていただく方にも伝わればいいなと思って作っています。

 

 

—「crinkle crinkle crinkle」というブランド名の由来は?
 
crinkle=「シワ」という意味。ナチュラルなシワ感を出す工程を「クリンクル加工」と言い、インドの商品でよく見る技法です。アイロンいらずで、扱いやすくて、シワになってもそれさえ愛おしいと思えるものになったらいいなと。天然素材で表現することでクラフト感が入るので、デザイン性の高いものもカジュアルに楽しんでもらえると思います。
 
それから「crinkle」の単語を3つ並べたのは、リズミカルでハッピーな気分になるし、ブランド名が何だかわからないのが面白いから。正解を一発で言える人ってなかなかいないんですよね(笑)。「トゥインクル トゥインクル トゥインクル」って間違える人も多いけれど、まさにそんなファンタジー的な響きがいい。お洋服を着ることによって今日の私は可愛いなと思えたり、裸では叶わないことを衣服が叶えてくれる。それってファンタジーだと思うんですよ。そんな呪文のように魔法がかかればいいな、という意味も込めています。

 

 

 

 

—物作りのインスピレーションはどこから得ていますか?
 
メゾンのクリエーションは必ず見ていて、世界の人たちがどんな表現をするのか、それを見た自分がどう感じるかを大切にしています。一方で、ヴィンテージや古着、ハンドクラフトも好き。メゾンからインスピレーションを得たとしても、ヴィンテージや古着から他にはない要素を持ってきたりして、やっぱり自分の解釈としてまったく違うものになっていくんですよね。

 

 

 

 

 

 

—ファーストコレクションについて教えてください。
 
今回、ファーストコレクションは、すべてインドで作りました。ブランドのアイコンとなるこの3D刺繍は、「安全、安心、楽ちん、どこでも行ける」というのが求められる世の中で、ファッションの歴史やメゾンのオートクチュールのような、今の時代に求められていない発想かもしれない。機能性の進化も大事だけれど、僕はやっぱりファッショで楽しむべきものはオートクチュールにあると思っていて。この花が咲くような立体的な刺繍は、まさにその技法。でも、そのまま手縫いで高価になってしまうより、よりリアルに着られる生地で作りました。今後も素材や形を変えてやっていきたいですね。
 
また、インドならではのフリンジも代表的。身頃と同じコットン100%の生地をバイアスに取り、輪っか状に手作業で縫製しながらひもにしたものをひとつずつ付けているんです。メゾンのクリエーション、そして、ヴィンテージも古着も好きというなかで、スエードのフリンジがやっぱり好きで。でもスエードよりももっと軽くて洗えて着やすいものをと考えて、コットンで作ろうと。付けるだけのフリンジテープなら簡単だけれど、スエードのように同じ生地同じ色で作成することにこだわりました。

 

 

 

 

—金原さんが今日着ていらっしゃるジャケットも「crinkle crinkle crinkle」のものですよね?
ウィメンズのブランドだと思うのですが、男性が着ても素敵ですね。
 
このジャケットの花柄は、1960年代前半にイタリアの工房のデザインチームが描いたデッサンを元にしているんです。古い資料から現代にはないテキスタイルデザインを買って持っているので、一度それをデジタルに落とし込み、配置や大きさを変えたり一部足したりしてオリジナルのプリントを作りました。アナログとデジタルが混ざるのも今の気分ですよね。
 
そして、ウィメンズの服を男性が着ることについて。ジェンダーやセクシャリティの話は確かに多様性があって、かつては男性が着られる服が少なかったけれど、今はユニセックスの服が増えてきた。でも僕は、女性と男性それぞれ特有の体型は区別すべきと思うんです。パターンメイキングも違うし、男女それぞれに合う服が理想的だと。だから“ユニセックス”ではなく、女性の服を男性が着るという“男女MIX”がいい。その違和感が面白いですよね。展示会でも透けるパンツを男性が買ってくれたり。「crinkle crinkle crinkle」でもいずれメンズをやりたいです。

 

 

—「crinkle crinkle crinkle」の服を、どんな風に着て欲しいですか?
 
着方について特に何か言うことはなくて、この服を身に纏うことによって一日楽しく過ごしてもらえたらそれでいい。仲の良いシトウレイさんが言っていた「何を着るか、ではなくどう着るか」という名言、まさにそれ! むしろ自分が想像していなかったスタイリングを見せてもらうのが好きなんです。

 

 

 

Brand Director
金原 広和(きんばら ひろかず)

長年テキスタイルデザイン会社にて企画営業に従し、コレクションやメゾンブランド、セレクトショップを担当。現在はアパレル会社にてテキスタイルデザインチームを運営しながらトレンド予測やブランドのディレクター兼デザイナーを兼任している。

- Instagram :@kin.summer.summer.

photographer/Katsuya Nagata(aosora)
Edit&Text/Taeko Higashihara

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